半ズボンの小学生が


駆けていく


雲が走るように


空を通り過ぎる


葉を落とした桜の枝が


灰色の空をつかもうとする


ぱらぱらと


時雨が落ちてくる


吐く息が白い


むかしむかしに見た


蒸気機関車のよう


缶コーヒーでも


買って


君の所へ行こう


さめないうちに


さっきの小学生のように


駆け足で



青い風船は


空からいつも


落ちてくる


青空からの


プレゼント


本当はぼくらは


青空から


生まれた


青空は


お母さんで


ぼくらのことを


心配してる


青い風船は


お母さんからの


手紙みたいなもの


こわれやすいけど


なくなりやすいけど


見つけたら


しっかりつかまえること


ふんわり


体も


こころも


軽くなるから


君の存在は


ろうそくの光


真っ暗闇に


火をともすことができる


ここからは


ずいぶん遠くに見えるけど


その光だけで


ぼくには十分


前へ進んでいける


小さな小さな光でも


宇宙の果てから


見えると思う




空の疑問符が


三日月のように


光るときに


君の胸の奥が鳴る


それは昔聴いたオルゴールの音に


そっくり


耳の中にも海があり


その潮騒の音が


遠く近く響き渡る


歩いて銀河の果てに


行こうとしたのは


そんなに昔のことだったのか


空にぶら下がる


疑問符に向かって


叫んでみた


赤い靴をはいた君が
火のように走るとき
街は内側から変わってゆく

血を流している三日月も

また微笑み始めるだろう


聖マリアはあらゆるところに
立っている
青ざめた彼女たちの頬
彼女たちの涙は止まらない
浄化の海がなくなることない


走れ
赤い靴を履いて
走れ

どんよりとした眼をした男たちを
君の叫びで揺さぶれ


赤い靴を履いて
どこまでもまっすぐに
走れ